キムチ作りにおける塩の働き

工場長日記

前回紹介した大阪偕星学園高校キムチ部の快進撃!!の中でクイズの答え作りに協力しました。
キムチ部が一番こだわっている作業「塩漬け」の説明です。

当初、番組から塩漬けの説明として塩漬けで野菜から水分が出て、野菜が持つ微生物や酵素などが発酵で大丈夫ですか?と聞かれました。

別に細かいことを言うつもりは無かったのですが、何か微妙に違うような気がして・・。
色々調べさせていただきました。

せっかくなので、今回はキムチ作りにおける塩の働きを紹介いたします。

キムチ作りにおける塩の働き その1 微生物の増殖を抑制し、キムチの保存性を向上させる。

食塩濃度を調整することにより、主に浸透圧によって有害菌を抑制します。
また、乳酸菌や酵母などの有用菌の増殖を促し、良好な発酵風味を付与することも目的です。

漬物製造管理士の勉強をしていた時の教科書から引っ張ってきたので、硬い表現ですが伝わるでしょうか。
最近は発酵食品の情報にふれる機会が多く、知っている人も多いと思います。

塩は有害菌の増殖を抑えます。
塩で作られている保存食として代表的な梅干しは、10%以上の塩分とすることで、長期間の保存を可能にしました。

でも、通常食べられているキムチの塩分は2~3%で、そんなに長期保存できません。
1ヶ月も保たないでしょう。
キムチの継ぎ足しは危険?(2024年版)でも書かせていただきましたが、発酵するからといって、無限に発酵しつづけることはありません。

ネット上には、発酵を誤解している人も多く、とんでもない情報があふれているのでご注意を。

余談ですが、アルコールも同じく微生物の増殖を防ぐため、併用することで塩分を控えることができます。

キムチ作りにおける塩の働き その2 生野菜を脱水し、野菜としての活性を停止させる

中学校の理科で習いましたよね?
植物の細胞には細胞壁があって、それが植物としての硬さを維持しています。

塩の浸透圧によって、細胞壁を壊し、細胞の中の水分を抜くことで活性を停止させることが目的です。
あわせて、細胞壁を壊すことで野菜の組織を柔軟にし、キムチとして食べやすくなります♪

写真の白菜も、生の状態だとガチガチですが、塩漬けすることでシンナリとし、美味しく食べることができます♪

キムチ作りにおける塩の働き その3 野菜の青臭みやアクを除去する

塩で漬けることにより、青臭みが消えます。
胡瓜なんかは顕著ですね♪
塩もみするだけで、食べやすく美味しくなります。

また、塩で組織が壊れることでヤンニョム(ヤンニョン)の味が入りやすくなるので、美味しいキムチ作りには必須の作業です。

以上のことから
塩漬けで野菜から水分を出して、代わりに塩が入ることで腐敗菌を抑制する。
そこにヤンニョンをあえることで、ヤンニョンのもつ栄養素を餌に乳酸菌が増え発酵する。

と紹介させていただきました。

原理を知ることで、美味しいキムチ作りにも活かせます♪
知れば知るほど、塩って本当に凄い調味料ですね!!

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  • コメント ( 2 )

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  1. 駐在おやじ

    ですよね 菌を抑えると思ってました
    でも 良い菌 悪い菌を 区別できないので、 濃度を調節しないといけないんですね
    ほどほど 発酵するように? ですかね wwww

      駐在おやじ

  2. 高麗食品

    駐在おやじさん
    コメントありがとうございます!
    この仕事していると「ええ塩梅(あんばい)」とは良く言ったもんやなと感心されられます♪

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