キムチにも使う食品添加物「増粘剤・増粘多糖類」とは・・

工場長日記

今回はキムチの専門的な話しです。
添加物関係の話しはネット上でも極端な意見が多く見られます。
どんな物か理解して、食べる物(買う物)を選べればと思い、紹介させていただくシリーズです。

今日は、キムチ(食品)にとろみをつける添加物「増粘剤・増粘多糖類」の説明をさせていただきます。

キムチにも使う食品添加物「増粘剤・増粘多糖類」とは

増粘剤は、食品に粘度をつけるために使用される食品添加物です。
代表的な増粘剤としてでん粉を発酵させて作られるキサンタンガム、海藻から抽出されるカラギナン、マメ科の植物の実から抽出されるグァーガムなどがありますが、そのほとんどは多糖類(糖がたくさんつながったもの)です。
粘度を調節することで野菜に程よく絡むようにするため、具材を分散させるため、食感を向上させるために使用しています。
また、2種類以上の多糖類を増粘などのために使用した場合は、「増粘多糖類」と簡略化した名称で表示することができます。

理研ビタミンさんが、きちんと説明されているので引用させていただきました。理研ビタミン株式会社

キムチにはキサンタンガムやグアーガムなどが使用されています。
ネットで見ると大量摂取すると危険!と書かれている方もいてますが、水と結着する性質上、大量には摂取できません(笑)
特定のものだけを何kgも食べ続けるとその数値までいくけど、そんなことはまず無いので安心してください。

キムチに使う増粘剤のメリット・デメリット

増粘剤のメリットは粘り気を調整できることです。
家庭で料理を作る時、水溶き片栗粉でとろみをつける作用と同じです。
しゃばしゃばより、とろみがある方が美味しい料理ってありますよね♪
写真のアグッチム(あんこうのピリ辛煮)も、とろみがあることが大事です。

キムチでは、とろみがつくことで表面が乾きにくくなり見た目の改善が期待出来ます。
野菜から水分がでると、ヤンニョン(ヤンニョム)が剝がれ落ち、食欲をそそらないの見た目になるのは商品としてマイナスです。
袋詰めなら問題は少ないですが、カップに入ったものは表面が乾くと見た目に影響します。

また、とろみがつくことで舌の上に残りやすく味がしっかり感じられるのもメリットです。
この辺は片栗粉を使う料理と同じ原理だと思います。
中華丼やチャンポンはとろみのある無しで美味しさが全然違いますから♪

逆にデメリットとしては、味が濃くなりすぎたり、くどさが残ったりするのが問題です。
舌の上に残りやすいので、増粘剤が多く入ったキムチは不自然なくらい後味が残ります。
これは各メーカー、作り手の感覚・考え方で変わってきますね。

また、使用量を誤ると糸をひくような粘りになります。
某ラーメン屋さんの取り放題のキムチで経験したことがありますが、納豆の様に糸を引くキムチは食欲をそぎますね・・・。

使用量をコントロールして完璧な粘りにしているメーカーさんのキムチは、ある意味凄いですよ。
容器をひっくり返しても落ちてこないくらいの粘り気があります。
でも、売り場で買う前のキムチをひっくり返さないでくださいね(笑)

もう一つのデメリットとして扱いにくさがあります。
水と結着する性質上、そのまま入れると強烈なダマになるので使用には注意が必要です。
水溶き片栗粉をお湯で溶いて、ダマになった経験がある人には分かると思います。(僕です)

以上のデメリットから増粘剤を使わず、水あめを使用して粘り・とろみを調整されるキムチ屋さんもあります。
水あめは水あめで、余計な甘さがつくので扱いに注意は必要ですが・・。

大阪鶴橋黄さんの手造りキムチ高麗食品と増粘剤

黄さんの手造りキムチ高麗食品では、野菜系のキムチの一部に少量だけ使用しています。
表面が乾くのがいやなので、とろみをつけて色合いを調整するのが目的です。
しかし、味に影響がでない範囲にとどめています。

もちろん、添加物不使用の自然発酵シリーズなどには使用しておりません。

デメリットのところで書きましたが、舌の上に味が残るのが好きでないので・・。
社内では味や見た目のために、もっと増粘剤を増やした方がいいのでは?!という意見もありますが、僕のこだわりを押し通しています。
自分の思う、ちょうど良い塩梅って大事ですよね♪

個人的には、化学調味料も含めた添加物を使う、使わないは各社・各人の好みによると思っています。
使わない人が偉い!とか、使う人は賢い!とかじゃなしに、各自で効果を良く分かって使う・使わないを判断するべきやと。

もちろん、買う側もきちんとした情報を知って、個人で判断して好きな物を買いましょう♪

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